安全・法令
軽貨物のアルコールチェック|検知器・記録・異常時の対応
検知器の数値を写真で送らせるだけでは、本人確認や体調確認が抜けます。酒気帯び確認は点呼の一部として、目視等による確認と検知器を使い、異常時に乗務を止められる運用まで決めます。2025年4月からの安全対策の強化で、軽貨物でも点呼と記録の保存が法令上の義務として整理されました。国土交通省の資料に沿って、確認の手順、検知器の管理、記録、異常時の判断までを整理します。
Answer結論
軽貨物のアルコールチェックは、業務前と業務後の点呼で、アルコール検知器と運転者の状態の目視によって酒気帯びの有無を確認し、結果を点呼記録簿に残して1年間保存するものです。検知器が反応したら、数値の高低にかかわらず乗務させません。検知器は毎日、電源と損傷を確かめ、少なくとも週1回は正しく検知するかを確認します。
Key pointsこの記事の要点
- 業務前・業務後の点呼で、検知器と目視の両方で酒気帯びを確認する。一人事業者も自ら確認する
- 検知器が反応したら、数値の高低にかかわらず乗務させない
- 検知器は毎日(電源・損傷)、少なくとも週1回(正しく検知するか)点検し、常時有効に保つ
- 結果は点呼記録簿に残して1年間保存。陽性・拒否・故障時は乗務させず管理者が判断する
目次
01軽貨物のアルコールチェックは、いつ・何で確認する?
国土交通省のリーフレットでは、点呼で確認する事項の一つとして運転者の酒気帯びの有無が示されており、乗務前と乗務後の両方で確認します。確認方法は、アルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認するとともに、運転者の状態を目視で確認することとされています。
国土交通省のFAQでは、検知器は呼気中のアルコールを検知し、その有無または濃度を警告音や数値などで示す機能を持つものを用意する必要があるとされています。一人で事業を行っている場合も、検知器を使った酒気帯びの確認を自ら行い、運行の可否を判断します。
02確認から記録までの標準手順
本人確認、状態確認、検知器測定、結果判定、点呼記録の順にします。うがい直後や測定エラーなど再測定条件も機器の説明書に基づき決め、現場判断で数値を消さないようにします。
図1酒気帯び確認の手順(例)
- 01本人確認測定する人が運転者本人であることを確かめる
- 02状態の確認顔色、呼気の臭い、声の調子などを目視等で確かめる
- 03検知器で測定取扱説明書どおりに測定する。再測定の条件も先に決めておく
- 04判定反応があれば、数値の高低にかかわらず乗務させない
- 05記録検知器の使用の有無、酒気帯びの有無、対応を点呼記録簿に残す
| 状態 | 直ちに行うこと | 記録 |
|---|---|---|
| 陽性 | 乗務停止・管理者連絡・再確認 | 数値・時刻・対応 |
| 測定拒否 | 乗務させず理由確認 | 拒否と判断者 |
| 故障 | 予備機へ切替・管理者確認 | 機器・故障内容 |
| 体調異常 | 数値ゼロでも運行可否判断 | 症状・指示 |
03数値が低ければ、乗務させてもいい?
いいえ。国土交通省のFAQでは、検知器が反応して数値が低かった場合について、数値の高低にかかわらず、酒気を帯びた状態で運行の業務についてはいけないとされています。国の解釈通達でも、点呼で確認する『酒気帯びの有無』は、道路交通法の基準値(呼気1リットル中0.15ミリグラム)以上かどうかを問わないものとされています。
現場では『この程度なら大丈夫』という声が出やすいところです。だから、反応が出たら乗務させない、という基準を会社として先に決め、点呼担当が一人で判断を背負わないようにします。代走の手配と荷主への連絡を誰が行うかも、同じ紙に書いておきます。
なお、酒気帯び運転を伴う事故は、自動車事故報告規則による30日以内の事故報告の対象であり、24時間以内の速報の対象でもあります。
04検知器を常時有効に保つには?
国土交通省のFAQでは、安全管理者が行う業務として、運転者に対して使用するアルコール検知器を常時有効に保持することが挙げられています。解釈通達では、『常時有効に保持』とは、正常に作動し、故障がない状態で保持しておくことをいうとされています。
そのために、検知器の製作者が定めた取扱説明書に基づいて適切に使用・管理・保守し、定期的に故障の有無を確認することが求められています。運転者に検知器を持たせる場合や車両に設置する場合は、毎日の確認を運転者の出発前に行います。
図2検知器の点検(解釈通達をもとに作成)
| 項目 | 確認する頻度 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 電源 | 毎日 | 電源が確実に入ること |
| 損傷 | 毎日 | 検知器に損傷がないこと |
| 検知しないこと | 毎日が望ましく、少なくとも週1回以上 | 確実に酒気を帯びていない人が使ったとき、アルコールを検知しないこと |
| 検知すること | 毎日が望ましく、少なくとも週1回以上 | 洗口液などアルコールを含む液体を口内に噴霧してから使ったとき、アルコールを検知すること |
- 検知器ごとに番号を振り、点検の日付と結果を台帳に残す
- 電池、センサーの交換時期、使用回数の上限を機器の仕様で確認する
- 予備機の置き場所と、故障時に誰へ連絡するかを決める
- 運転者に持たせる検知器は、出発前の点検を点呼の流れに組み込む
05前夜の飲酒量を会社が保証しない
『何時間空ければ大丈夫』という一律ルールは、体格や体調、量による差を無視します。飲酒運転を防ぐ教育を行い、数値や状態に疑いがあれば乗務させない判断を優先します。
検知器が反応して乗務を止めたとき、本人を責めて終わりにすると、次から測定を避ける動機が生まれます。止めた判断そのものは正しい運用だったと記録に残し、なぜ反応が出たのかを本人と確かめ、次の予防につなげます。
06点呼記録簿に何を残す?
国土交通省のFAQでは、業務前・業務後の点呼記録に、点呼の方法として『アルコール検知器の使用の有無』と『対面でない場合は具体的方法』を、さらに『運転者の酒気帯びの有無』を記録することが示されています。点呼記録は1年間保存します。
測定の写真や数値を別のチャットに送るだけにせず、点呼記録簿の該当欄に結びつけて残します。紙でも、パソコンやスマートフォンでの記録でも構いません。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 点呼日時・区分 | 10月3日 7:40 業務前 |
| 点呼執行者名・運転者名 | 点呼を行った人と運転者の氏名 |
| 点呼の方法 | 検知器を使用、対面(対面でない場合は電話など具体的方法) |
| 酒気帯びの有無 | 無(検知器の表示、目視の所見) |
| 指示事項・その他 | 反応があった場合の対応と判断者 |
07記録を点呼と一体で監査する
測定写真だけ別のチャットへ蓄積すると、検索や保存が難しくなります。点呼記録と結びつけて1年間保存し、未測定、同じ画像、時刻矛盾、機器期限切れを月次で確認します。
08機器と記録を抜き打ちで照合する
月に数件、測定日時、点呼日時、運行開始時刻、機器番号を突合します。異常がなかった記録も対象にし、特定の人だけを疑う監査にしません。測定ミスが続く場合は処分を先に考えるのではなく、機器の使い方、保管環境、通信、早朝の担当体制を確認します。陽性時に本人が安全に帰宅・待機できる方法まで用意しておくと、現場で測定結果を隠す圧力を減らせます。
Q&Aよくある質問
- 検知器の数値がわずかでも、乗務させてはいけませんか?
- 国土交通省のFAQでは、数値の高低にかかわらず、酒気を帯びた状態で運行の業務についてはいけないとされています。反応が出たら乗務を止め、管理者が再確認と代走の手配を判断し、対応を点呼記録簿に残してください。
- アルコール検知器の点検は、どのくらいの頻度で必要ですか?
- 国の解釈通達では、電源が確実に入ることと損傷がないことを毎日確認し、酒気を帯びていない人が使って検知しないこと、アルコールを含む洗口液などを噴霧して使うと検知することを、毎日が望ましく少なくとも週1回以上確認するとされています。取扱説明書に基づく保守も必要です。
- 一人で軽貨物をしている場合も、アルコールチェックは必要ですか?
- 必要です。国土交通省のFAQでは、一人で事業を行っている場合も、アルコール検知器を使った酒気帯びの確認などを自ら行い、運行の可否を判断するとされています。結果は点呼記録として1年間保存します。
参考資料
制度に関する参照資料の確認日:2026年10月3日。個別の適用・最新情報は各窓口へご確認ください。
