安全・法令
軽貨物の業務記録とは|記載項目・保存期間・記録例
業務記録は売上集計のためだけの配送実績ではありません。誰が、どの車両で、いつ、どこを運行し、どのような業務を行ったかを後から確認できる安全記録です。国の解釈通達でも、業務の記録は運転者の業務の実態を把握し、過労の防止などに活用するためのものとされています。アプリに履歴があるだけで必要事項がそろうとは限りません。何を、いつ、どう書けばいいのかを、国土交通省の資料に沿って整理します。
Answer結論
軽貨物の業務記録は、運転者の氏名、車両番号、業務の開始・終了の地点と日時、主な経過地点、業務に従事した距離、休憩・睡眠の地点と日時などを業務ごとに記録し、1年間保存するものです。荷主の都合で30分以上待機したときや一定の荷役作業をしたとき、事故や著しい遅延があったときは、その内容も記録します。
Key pointsこの記事の要点
- 毎回書く項目(氏名、車両番号、業務の開始・終了・休憩の日時と地点、距離、主な経過地点)と、荷待ち・荷役・事故など該当したときだけ書く項目を分ける
- 業務が終わるごとに作成し、休憩や待機はその都度書く。後からまとめて書かない
- 業務記録は1年間保存し、点呼記録・運転者台帳と同じ氏名・車両番号で突き合わせる
- 業務記録は勤務時間の基準を守れているかを確かめる材料になる
目次
01業務記録は、何のための記録か
業務記録は、2025年4月から軽貨物の事業者に新たに義務づけられた記録の一つです。国土交通省のリーフレットでは、行った業務について法令で定められた項目の記録を作成し、1年間保存しなければならないとされています。一人で事業を行っている場合も対象です。なお、三輪の軽自動車や二輪の自動車を使うバイク便の事業者は対象外とされています。
目的は、運転者がどれだけの時間、どこで、どう働いたかを会社が把握することです。点呼で『眠れたか』を聞いても、前日に何時まで走っていたかが分からなければ、判断の根拠が弱くなります。業務記録は、点呼と勤務時間の管理を支える土台です。
02業務記録に書く項目は?
国土交通省のFAQでは、業務記録に記録が必要な事項が示されています。毎回の業務で必ず書く項目と、該当したときだけ書く項目に分けて整理すると、記録様式を作りやすくなります。国土交通省は業務記録の様式例も公開しているので、まずはそれを基本にします。
| 区分 | 記録する事項 | 書くとき |
|---|---|---|
| 人 | 運転者等の氏名 | 毎回 |
| 車 | 業務に使った事業用自動車の車両番号 | 毎回 |
| 時間と場所 | 業務の開始・終了の地点と日時 | 毎回 |
| 運行 | 主な経過地点、業務に従事した距離 | 毎回 |
| 休憩 | 休憩・睡眠の地点と日時(開始と終了) | 取ったとき。10分未満の休憩は省略してよい |
| 交替 | 業務を交替した地点と日時 | 交替したとき |
| 荷待ち | 荷主の都合で待機した集貨・配達の地点、到着・荷役・附帯業務・出発の日時など | 荷主都合の待機が30分以上のとき |
| 荷役作業等 | 地点、開始・終了の日時、作業の内容、荷主の確認を得たか | 荷役作業等をしたとき(契約書に明記されている場合は1時間以上のとき) |
| 異常 | 事故や著しい運行の遅延などの概要と要因 | 人身事故・物損事故・報告対象の事故・著しい遅延などがあったとき |
03記録例:ある一日の業務記録
宅配の一日を例に、どの時点で何を書くかを並べます。時刻や地名は説明のための仮の例です。実際の記録では、様式例の欄に沿って書き込みます。
図1業務記録の書き方の例(説明のための仮の例)
- 8:30業務開始
営業所で業務前点呼の後、開始地点(営業所)・日時・運転者名・車両番号を書く
- 9:40荷待ち
集荷先で荷主の都合により40分待機。地点と到着・出発の日時を書く
- 12:15休憩
休憩の地点と、開始・終了の日時を書く
- 15:00遅延
渋滞で大幅に遅れた。著しい遅延の概要と要因を書く
- 18:45業務終了
終了地点・日時、主な経過地点、走行距離を書き、業務後点呼へ
04いつ書けばいい?まとめて書いてもいい?
国土交通省のFAQでは、業務記録は業務が終了するごとに作成するよう努めることとされています。休憩や集荷の時間などはその都度書くことで、業務の実態を正しく記録できるとしています。一週間分をまとめて思い出して書く運用は避けてください。
現場で続けるコツは、通常の項目を選択式や自動入力にし、遅延、長時間待機、車両異常、体調変化など例外だけを書かせることです。運行終了時の流れ、たとえば業務後点呼の直前に組み込むと、書き忘れが減ります。
- 開始時:点呼の直後に、開始地点・日時・車両番号を入れる
- 運行中:休憩と荷待ちを、その場でスマートフォンから入れる
- 終了時:終了地点・日時・距離・主な経過地点を入れてから業務後点呼
- 当日中:管理側が未入力と時刻の矛盾を確認する
05配送アプリの履歴をそのまま信用しない
業務記録の記録・保存は、書面でも、パソコンやスマートフォンを使った電磁的方法でも差し支えないとされています。ただし、荷主システムは契約終了後に見られなくなる場合があります。また、法令上必要な項目がすべて出力できるとは限りません。
たとえば、配達完了の時刻は残っていても、休憩の地点や荷主都合の待機は残らないことがあります。出力形式、保存期間、退場後の取得可否を確認し、足りない項目を補う自社の記録を設計します。
06業務記録で、勤務時間の基準を確かめる
国土交通省のFAQでは、拘束時間、休息期間、運転時間については、運行の計画を立てる際に業務記録を参照し、基準を超えた勤務時間になっていないかを確認するよう示されています。業務記録は、書いて保存するだけでなく、翌日以降の配車を決める材料として使うものです。
たとえば、開始と終了の日時から1日の拘束時間が13時間を超えた日が続いていないか、終了から翌日の開始までに継続11時間以上の休息期間を取れているか、4時間を超えて休まず走っていないかを確認します。基準を超えそうな運転者がいれば、翌日のコースや開始時刻を調整します。
図2業務記録を勤務時間の管理に使う流れ
- 01記録する開始・終了・休憩の地点と日時を業務ごとに残す
- 02集計する1日の拘束時間、休息期間、運転時間を運転者ごとに見る
- 03照らす改善基準告示に基づく勤務時間の基準と比べる
- 04配車に返す超えそうな人のコース・開始時刻・休憩を翌日以降に調整する
071年間保存し、点呼と照合する
業務記録は1年間保存します。月次では、点呼があるのに運行がない、運行があるのに点呼がない、同じ運転者が重複している、といった矛盾を確認します。点呼記録、車両の台帳、運転者等台帳で同じ氏名・車両番号の書き方を使うと、突き合わせが速くなります。
| 分類 | 業務記録の項目 | 突合先 |
|---|---|---|
| 人 | 運転者等の氏名 | 運転者等台帳 |
| 車 | 車両番号 | 車両台帳・日常点検 |
| 時間 | 開始・終了・休憩の日時 | 点呼記録 |
| 運行 | 開始・終了の地点、主な経過地点 | 配車・配送実績 |
| 異常 | 荷待ち・荷役・事故・遅延 | 荷主への報告・事故記録 |
08記録様式を変更するときの確認
紙からクラウドへ移す場合は、移行日以前の記録も保存期限まで検索できるようにします。入力必須項目、時刻の自動記録、訂正履歴、出力形式、退職者アカウント削除後の閲覧を試験します。荷主アプリから自社台帳へ転記する場合は、二重入力による誤りを減らすため照合担当と締め時刻を決めます。実際の事故を想定し、一人分の記録を数分で取り出せるか試してください。
Q&Aよくある質問
- 業務記録は、1週間分をまとめて書いてもいいですか?
- 国土交通省のFAQでは、業務が終了するごとに作成するよう努めることとされています。休憩や集荷の時間などはその都度書くことで、業務の実態を正しく記録できます。後からまとめて書くと、時刻や地点が不正確になります。
- 短い休憩や、少しの荷待ちも全部書く必要がありますか?
- 解釈通達では、10分未満の休憩は記録を省略して差し支えないとされています。荷主の都合による待機は30分以上の場合に記録し、30分未満なら省略できます。荷役作業等は、契約書に明記されている場合は1時間以上のときに記録します。
- 配送アプリに履歴が残っていれば、業務記録の代わりになりますか?
- 記録は書面でも電磁的方法でも構いませんが、アプリの履歴に法令上必要な項目がすべて含まれているとは限りません。休憩の地点や荷主都合の待機などが残るか、契約終了後も1年間取り出せるかを確認し、足りない部分は自社で記録してください。
参考資料
制度に関する参照資料の確認日:2026年10月3日。個別の適用・最新情報は各窓口へご確認ください。
