安全・法令
軽貨物の事故記録と事故報告|3年保存・30日報告・24時間速報
事故直後は救護と二次被害防止が最優先です。その後、社内記録で終わる事故と、運輸支局への報告・速報が必要な事故を切り分けます。事故の大小を現場だけで判断させない連絡網が必要です。2025年4月以降、軽貨物の事業者にも事故の記録と国への事故報告が義務づけられました。何を、いつまでに、どこへ出すのかを、国土交通省の資料に沿って時間軸で整理します。
Answer結論
事故が起きたら救護・二次被害の防止・警察への連絡を優先し、会社へすぐ報告します。事故の記録は事故発生後30日以内に作成して3年間保存し、死傷者を生じた事故など報告対象の事故は30日以内に運輸支局等へ事故報告書を提出します。2人以上の死者を生じた事故や酒気帯び運転を伴う事故などは、24時間以内にできるだけ速やかに速報します。
Key pointsこの記事の要点
- 救護・警察・安全確保を優先し、会社へ即時連絡する。示談や責任の判断を現場でさせない
- 事故記録は8項目を事故発生後30日以内に作成し、営業所で3年間保存する
- 報告対象の事故は30日以内に運輸支局等へ報告。2人以上の死者、酒気帯び運転を伴う事故などは24時間以内に速報する
- 原因を運転者の不注意で閉じず、配車・教育・休憩・車両管理まで見て再発防止策に担当と期限をつける
目次
01事故が起きたら、何をいつまでに?
事故への対応は、直後の行動と、その後の記録・報告で求められる期限がまったく違います。直後は人命と安全が最優先で、書類のことは考えなくていい。その代わり、会社の側が期限を把握し、漏れなく追いかける必要があります。
図1事故発生から記録・報告までの時間軸(国土交通省のリーフレット・FAQ・解釈通達をもとに作成)
- 直後救護・安全確保・警察への連絡
負傷者の救護と二次事故の防止を最優先。会社へすぐ第一報
- 当日証拠の保全と関係先への連絡
写真、ドラレコ、点呼・業務記録を確保し、荷主・保険会社へ連絡
- 24時間以内速報(対象の事故のみ)
2人以上の死者、酒気帯び運転を伴う事故などは、できるだけ速やかに電話等で運輸支局等へ
- 30日以内事故記録の作成・事故報告書の提出
事故記録を作成する。報告対象の事故は事故報告書を運輸支局等へ提出
- 3年間事故記録の保存
事業用自動車の運行を管理する営業所で保存
02事故直後の順序を車内に置く
負傷者の救護、二次事故の防止、警察への連絡、会社への報告、相手方情報と現場状況の記録という順を、運転者が迷わない形で配布します。示談や責任判断を現場で行わせません。
事故の直後は、誰でも動揺します。『何をしてはいけないか』まで書いた一枚を車内に置いておくと、その場で余計な約束をしてしまうことを防げます。
| 時点 | 対応 | 担当 |
|---|---|---|
| 直後 | 救護・安全確保・警察 | 運転者 |
| 当日 | 荷主・保険・社内連絡、証拠保全 | 管理者 |
| 速やかに | 報告対象と速報要否の判定 | 安全管理者 |
| 期限内 | 所定様式で提出・記録保存 | 事業者 |
03事故記録には、何を書く?
国土交通省のFAQでは、事業用自動車に係る事故が発生した場合に記録すべき事項として、次の8項目が示されています。解釈通達では、記録は事故発生後30日以内に作成し、事故発生後3年間保存することとされています。書面でも電磁的方法でも構いません。
記録は、事故報告書の様式を活用して作っても差し支えないとされています。その場合は、事故の当事者(乗務員等を除く)の氏名を付け加えます。事故の発生場所は、付近の地図に場所を示したものを添付すれば足りるとされています。国土交通省は事故記録の様式例も公開しています。
| 項目 | 記録のポイント |
|---|---|
| 乗務員等の氏名 | 運転者のほか、同乗者がいれば含める |
| 事業用自動車の車両番号 | 点呼・業務記録と同じ表記にする |
| 事故の発生日時 | 業務記録の時刻と照合する |
| 事故の発生場所 | 付近の地図に場所を示したものを添付してよい |
| 事故の当事者(乗務員等を除く)の氏名 | 相手方の情報は閲覧できる人を限定する |
| 事故の概要(損害の程度を含む) | 当時の状況、道路の状況、当時の運行計画など |
| 事故の原因 | 直接原因と背景要因を分けて書く |
| 再発防止対策 | 担当者と期限、効果を確かめる日まで書く |
0430日以内に報告が必要な事故とは?
自動車事故報告規則の対象となる事故は30日以内の報告が必要です。国土交通省は、軽貨物の事業者に関わる主な報告対象事故の一覧を公開しています。報告書は、その自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局等に、所定の様式で提出します。2025年4月以降に引き起こした事故が対象です。
- 転覆(路面と35度以上傾いたとき)、転落(道路外に0.5メートル以上落ちたとき)、火災(積載物品の火災を含む)、鉄道車両との衝突・接触
- 10台以上の自動車の衝突・接触
- 死者または重傷者(骨折や内臓の破裂など所定の傷害を受けた人)を生じたもの
- 10人以上の負傷者を生じたもの
- 積載した危険物・高圧ガスなどの飛散・漏えい
- 酒気帯び運転、無免許運転、麻薬等運転を伴うもの
- 運転者の疾病により、運行を続けられなくなったもの
- 救護義務違反があったもの
- 自動車の装置の故障により運行できなくなったもの、故障による車輪の脱落
- 鉄道施設を損傷して3時間以上運転を休止させたもの、高速道路等で3時間以上通行を禁止させたもの
- 国土交通大臣が特に必要と認めて報告を指示したもの
0524時間以内に速報が必要な事故とは?
報告対象の事故のうち、特に重大なものは、30日以内の報告とは別に、24時間以内においてできるだけ速やかに、電話その他の方法で管轄の運輸支局等へ速報します。
図230日以内の報告と24時間以内の速報(国土交通省FAQ・報告対象事故一覧をもとに作成)
| 項目 | 30日以内の報告 | 24時間以内の速報 |
|---|---|---|
| 死傷者 | 死者または重傷者が1人でも | 2人以上の死者、または5人以上の重傷者 |
| 負傷者の数 | 10人以上 | 10人以上 |
| 酒気帯び運転 | 伴うもの | 伴うもの |
| 運転者の疾病 | 運行を続けられなくなったもの | 脳疾患・心臓疾患・意識喪失に起因すると思われるもの |
| 方法・提出先 | 所定の様式で運輸支局等へ | 電話その他の方法で運輸支局等へ |
06迷ったら、上げる。判断する人を決めておく
現場が報告対象をその場で法的に判断するのは困難です。『人身事故』『車両火災』『転覆』『重大な運行支障』『検知器の反応』など一定の条件に当てはまれば、安全管理者と経営者へ直ちに連絡し、必要に応じて運輸支局へ確認する流れを作ってください。夜間や休日に誰が速報を判断するかも決めておきます。
国土交通省のFAQでは、重大な事故を報告しない、または虚偽の報告をした場合は50万円以下の過料とされています。罰則のためだけではなく、事故の事実を会社が早く正確に知るために、報告の流れを整えます。
図3トラブルが起きたときの5つの順番(ロジエスの考え方)
- 01感情と事実を分ける誰が悪いかの前に、何が起きたかを時系列で集める
- 02責任の範囲を見る運転者・会社・荷主・相手方のどこに属する話かを分ける
- 03今すぐ止める救護、運行の停止、代走など、先に止血すべきことを決める
- 04説明する荷主・保険会社・運輸支局など、必要な相手に必要な説明をする
- 05再発防止へ原因と対策に担当と期限をつけ、記録に残す
07再発防止は個人注意で閉じない
原因を運転者の不注意だけにすると、無理な時間設定、連絡遅れ、教育不足、車両管理といった背景が残ります。運行、管理、案件条件を分け、対策の担当と確認日を決めます。
死者または負傷者が生じた事故を起こした運転者は、特別な指導と適性診断の対象になります。国土交通省のFAQでは、事故の内容や事故前の事故歴に応じた特定診断を、再度乗務する前に受診させ、やむを得ない事情がある場合は乗務再開後1か月以内とされています。事故記録と運転者等台帳を結びつけ、対象者の漏れを防ぎます。
- 直接原因:その瞬間に何が起きたか(確認不足、速度、死角など)
- 運行の背景:時間指定、荷量、休憩、長時間の稼働
- 管理の背景:教育、点呼での確認、車両の点検
- 案件の背景:荷主の条件、駐車環境、配送先の特性
08事故対応訓練を年内に繰り返す
連絡網を配るだけでは、事故時に電話がつながらない、場所を説明できない、荷主連絡が重複するといった混乱が残ります。想定事故を一つ決め、運転者から管理者までの連絡を模擬実施します。個人情報を含む写真の送信先、夜間の代替連絡先、速報判断者も確認します。訓練で止まった工程を手順書へ反映し、車内版は短く、管理者版は詳細に分けます。
Q&Aよくある質問
- 事故報告書は、いつまでにどこへ出せばいいですか?
- 国土交通省のFAQでは、提出先はその自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局等、提出期限は事故があった日から30日以内とされています。救護義務違反があった事故は知った日から30日以内、国土交通大臣が報告を指示した事故は指示があった日から30日以内です。
- 24時間以内の速報をしたら、事故報告書は出さなくていいですか?
- 速報は、特に重大な事故について運輸支局等へ早く知らせるためのもので、事故報告書の提出とは別です。速報の対象となる事故は、30日以内の報告対象にも含まれているため、所定の様式による報告書も期限内に提出してください。
- 事故記録はいつまでに作ればいいですか?
- 国の解釈通達では、事故の記録は事故発生後30日以内に作成し、事故発生後3年間保存することとされています。保存は、その事業用自動車の運行を管理する営業所で行います。
参考資料
制度に関する参照資料の確認日:2026年10月3日。個別の適用・最新情報は各窓口へご確認ください。
