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軽貨物ドライバーの早期離職コスト|採用費以外に失う金額

早期離職の損失は、求人広告費だけではありません。面接、契約、横乗り、管理者の対応、欠車、再募集まで含めると、見えない費用が積み上がります。しかも一人の離職は、残った人へのしわ寄せを通じて、次の離職を呼びます。金額にして初めて、定着に使える予算を判断できます。

Answer結論

早期離職のコストは求人広告費だけではありません。選考と教育にかけた社内の時間、欠員を埋める代走の手当、慣れない人が走ることによる誤配やクレーム、そして最悪の場合は荷主の仕事そのものまで含まれます。これらを直接費・社内の時間・運行への影響に分けて一人ずつ金額にすると、定着にいくらまで使ってよいかが決められます。

Key pointsこの記事の要点

  1. 離職コストを、直接費・社内の時間・運行への影響に分けて計算する
  2. 時間は担当者の時間単価で、金額に置き換える
  3. 一人の離職が次の離職を呼ぶ『負の連鎖』まで見る
  4. 最初に辞めるのは、いちばん残ってほしい人であることが多い
目次
  1. 01一人が辞めると、会社は何を払うのか
  2. 02離職コストを6つに分けて計算する
  3. 03計算してみると、いくらになるか
  4. 04売上ではなく、粗利への影響で見る
  5. 05最初に辞めるのは、いちばん残ってほしい人
  6. 06辞めた時期で、原因の見当をつける
  7. 07定着施策に使える予算の上限を決める
  8. 08一人あたりの損失を、毎月更新する
  9. 09よくある質問

01一人が辞めると、会社は何を払うのか

一人が辞めると、まずその穴を埋めるために、また採用にお金がかかります。求人広告を出し、面接をし、また一から教える。その間、その現場は人が足りず、他のドライバーにしわ寄せがいきます。無理が重なれば、その人たちも疲れて辞めていく。負の連鎖です。

さらに、辞めた穴を慣れないドライバーで埋めれば、ミスが増えます。誤配、遅延、クレーム。品質が落ちれば荷主の信頼を失い、最悪の場合、仕事そのものを失います。

図1一人の離職から始まる、負の連鎖

  1. 01一人が辞める採用・面接・教育をもう一度
  2. 02欠員のしわ寄せ他のドライバーの負担が増える
  3. 03慣れない代わり誤配・遅延・クレームが増える
  4. 04次の離職無理が重なった人も疲れて辞める
  5. 05荷主の信頼を失う最悪の場合、仕事そのものを失う
代表・奥山の著書で書いた構造です。採用コスト、欠員の損失、品質の低下、クレーム対応、失う仕事――会社は目に見えるお金として、これだけを払っています。

02離職コストを6つに分けて計算する

自社で実際に発生した金額と時間を集めます。一般的な相場を当てはめるより、請求書、勤務記録、代走の実績から計算するほうが、経営判断に使えます。

離職コストの計算表表は横にスクロールできます →
分類含めるもの計算の仕方
募集媒体・紹介・原稿の制作請求額
選考応募への返信・面接・契約説明かかった時間 × 担当者の時間単価
教育横乗り・教材・車両や端末の準備指導の時間 + 実費
欠員・代走代走の手当、欠車による減額追加で払った額 + 減った粗利
品質誤配・遅延・クレームの対応対応にかかった時間と費用
再採用もう一度の掲載・面接・教育上と同じ方法で計算し直す

03計算してみると、いくらになるか

次の数字は、計算の手順を説明するための仮の数字です。業界の平均でも、ロジエスや特定の会社の実績でもありません。自社の請求書と記録に置き換えて計算してください。

図2早期離職1人あたりのコストの内訳(説明のための仮の数字)

  • 募集(媒体費の按分)5万円
  • 選考(返信・面接 5時間)1万円
  • 教育(横乗り 3日分)4.5万円
  • 欠員・代走(10日分の手当)3万円
  • 品質(クレーム対応など)1.5万円
  • 合計15万円
仮定:担当者の時間単価2,000円、横乗りの指導費1日1万5,000円、代走の手当1日3,000円。この合計には、荷主の評価の低下や、管理者が営業できなかった時間は入っていません。

04売上ではなく、粗利への影響で見る

欠車で失った売上をそのまま損失とすると、過大になることがあります。走らなかった分のドライバーへの支払いも発生していないからです。失ったのは売上ではなく、その分の粗利です。

一方で、荷主からの評価の低下や、管理者が代走の手配に追われて営業できなかった時間は、帳簿には出てきません。帳簿で確かめられる直接費と、推定の影響は、分けて表示します。

05最初に辞めるのは、いちばん残ってほしい人

離職コストを計算するときに、もう一つ覚えておいてほしいことがあります。辞める人の『質』です。

06辞めた時期で、原因の見当をつける

3日以内は募集時の説明や初日の体験、30日以内は教育・案件との相性・収支、90日前後は評価や将来の見通し・管理者との関係が影響しやすい、という仮説を置きます。ただし決めつけず、面談の記録と照らし合わせます。

図3辞めた時期と、疑うべきところ

  1. 3日以内
    入り口のギャップ

    募集時の説明、初日の迎え方

  2. 30日以内
    教育・相性・収支

    研修、案件、想定収入との差、体の痛み

  3. 90日前後
    報われなさ

    評価、報酬の説明、先の見通し、管理者との関係

07定着施策に使える予算の上限を決める

一人の早期離職で失う平均額が分かれば、面談の時間、教材、指導役の手当に、いくらまで使えるかが決められます。仮に一人あたり15万円を失っているなら、一人の離職を防ぐために数万円をかけることは、十分に元が取れる判断です。

施策を始めた後は、定着率だけでなく、一人あたりの離職コストが下がったかも確かめます。

08一人あたりの損失を、毎月更新する

離職者が出るたびに一人ずつ計算し、四半期ごとに平均と中央値を見ます。大きな案件の一件だけで平均が跳ねることがあるため、中央値も並べます。計算の対象と時間単価を毎回そろえれば、定着に使った費用が損失の削減につながったかを確かめられます。

代走の手当、採用の費用、欠員の損失を金額にしたことがあるか。これは私が著書の最後に置いた『経営者への十の問い』の一つです。離職を防げなかった管理者を責める材料にはせず、採用経路や案件ごとの違いを比べる道具として使います。

Q&Aよくある質問

早期離職のコストは、一人あたりいくらくらいですか?
媒体費、選考と教育の時間、代走の手当、品質対応などの積み上げで決まるため、会社ごとに大きく違います。一律の相場を当てはめるより、自社の請求書と記録で一人ずつ計算し、平均と中央値を追うほうが判断に使えます。
欠車で失った売上は、すべて損失として数えるべきですか?
売上ではなく、失った粗利で数えます。走らなかった分のドライバーへの支払いは発生していないためです。ただし、荷主の評価の低下など帳簿に出ない影響は、推定として別に書いておきます。
離職コストを計算したら、何に使えばいいですか?
定着施策にいくらまで使ってよいかの上限を決めるのに使います。面談の時間、教材、指導役の手当などに投じた費用が、一人あたりの離職コストを下げたかを、施策の前後で比べます。

参考資料

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