定着・教育
新人ドライバーの3日・7日・14日・30日面談で聞くこと
『困っていたら連絡して』だけでは、辞める直前まで本音が出ないことがあります。新人がつまずきやすい時点に会社の側から短い面談を入れ、問題が小さいうちに片づけます。面談そのものは特別なことではありません。大事なのは、それを担当者の優しさに任せず、会社の決まりごとにすることです。
Answer結論
新人ドライバーの面談は、3日・7日・14日・30日と、つまずきやすい時点に会社の側から予定として入れ、時期ごとに聞くことを変えます。初週は担当者が毎日『今日はどうだった』『体は痛くないか』『困ったことはないか』の3つを聞き、30日では『どこが大変か』『何につまずいているか』『収入はイメージと合っているか』『この先続けられそうか』を確かめて、次の1か月の道筋を一緒に決めます。
Key pointsこの記事の要点
- 面談日は、稼働を始める前に予定へ入れておく
- 初週は毎日3つの声かけ、30日で4つの確認と次の1か月の道筋
- 聞いた内容には、担当者と期限を付けて必ず返す
- 面談で出た理由を集め、個人ではなく現場の仕組みを直す
目次
01なぜ、最初の1か月に面談が要るのか
いちばん折れやすいのは、最初の1週間から1か月です。配れない、道に迷う、ミスをする、自信をなくす。そこに足や腰の痛みが重なると、能力とは関係のないところで心が折れていきます。
しかも、この時期に辞める人の多くは、黙って消えていきます。不満を言ってくれる人はまだいいほうで、『ここでは大切にされない』と感じた人ほど、早く見切りをつけます。だから、本人から言い出すのを待たず、会社の側から聞きにいく時点を決めておきます。
02初週は、面談より『毎日の3つの声かけ』
初週は、かしこまった面談より、一日の終わりの短い声かけが効きます。新人には必ず初期のフォロー担当をつけ、その日のうちに次の3つを聞きます。
折れやすいこの時期に、たった一人でも自分を気にかけてくれる人がいる。それだけで、人は持ちこたえられます。逆に、声をかけるかどうかを担当者の気分や忙しさに任せると、いちばん忙しい日に限って誰も声をかけません。
図1初週、一日の終わりに聞く3つのこと
- 01今日はどうだった出来事と気持ちを、そのまま話してもらう
- 02体は、痛くないか足・腰・手首。靴や荷物の持ち方を確認する
- 03困ったことは、ないか端末、道、連絡先。その場で解決できるものは解決する
033日・7日・14日・30日、それぞれで何を聞くか
面談は10〜15分でも構いません。雑談で終わらせず、事実、本人の負荷、必要な支援を分けて聞きます。時期によって、つまずく理由が変わるので、聞くことも変えます。
図2最初の30日の面談スケジュール
- 初日振り返り
『最初はできなくて当然』と伝え、個数で評価しない
- 3日安全と初期の不安
怖い場所、分からない操作、連絡しづらい相手
- 7日業務量と収支
想定との差、休憩、持ち戻り、体の痛み
- 14日人間関係と再現性
指示の食い違い、毎日止まる工程
- 30日継続の条件
4つの確認と、次の1か月の道筋
| 時期 | 確認テーマ | 質問例 |
|---|---|---|
| 3日 | 安全と初期の不安 | 怖いと感じた場所は?分からない操作は?連絡しづらい相手はいる? |
| 7日 | 業務量と収支 | 聞いていた話と違うところは?休憩は取れている?持ち戻りで困る点は? |
| 14日 | 人間関係と再現性 | 人によって指示が違うことは?毎日同じところで止まる作業は? |
| 30日 | 継続の条件 | どこが大変?何につまずいている?収入はイメージと合っている?この先続けられそう? |
0430日面談は、4つの確認で次の1か月を決める
30日の面談は、引き留めの場ではありません。本人の実感と、会社が見ている数字を突き合わせ、次の1か月に何を変えるかを一緒に決める場です。
特に『収入はイメージと合っているか』は、聞きにくくても必ず聞きます。入る前の説明と実際の差は、そのまま辞める理由になるからです。差があるなら、報酬明細を一緒に見て、どこで差が出ているか(件数、単価、経費、稼働日)を確かめます。
図330日面談の4つの確認と、会社が用意するもの
| 項目 | 本人に聞くこと | 会社が手元に用意するもの |
|---|---|---|
| どこが大変か | きつい時間帯・作業・場所 | 配車表と終了時刻の記録 |
| 何につまずいているか | 覚えられない手順、止まる工程 | 研修の未達項目と指導役のメモ |
| 収入はイメージと合っているか | 入る前に思っていた金額との差 | 報酬明細と、入社前に説明した収入例 |
| この先、続けられそうか | 続けるうえで変えたいこと | 案件変更や時間帯調整の選択肢 |
05『辞めないよね』と聞かない
『辞めないよね』という聞き方は、本音を閉じます。業務量、報酬の理解、体調、家庭の事情、指導、案件との相性を、別々に確認します。答えやすいよう、0〜10点の負荷評価と自由回答を組み合わせるのも一つの方法です。
面談を評価の査定と混ぜないことも、最初に伝えます。『ここで話したことで評価は下がらない』と分かって初めて、早い段階の困りごとが出てきます。直属の指導役には言いにくい問題もあるので、必要に応じて別の面談担当を用意します。
06面談記録は、約束の管理表にする
記録するのは不満の一覧ではなく、事実、決まったこと、担当、期限、次回の確認日です。会社で変えられない条件は、あいまいに期待させず、理由を説明します。報酬や契約条件の質問は、その場で断定せず、契約書と明細を確かめて回答日を約束します。
- 本人の発言と、会社の解釈を分けて書く
- 個人情報を見られる人の範囲を限る
- 安全にかかわる問題は、面談の後すぐに扱う
- 次回の面談で、対応した結果を必ず返す
- 本人が望まない私生活のことまでは聞かない
07面談で集めた理由で、現場を直す
同じ拠点で『指示が人によって違う』が続くなら、個人への対応では足りません。面談で出た理由を分類し、案件・指導役・開始時期ごとに傾向を見て、教育資料や配車に反映します。
最初の1か月で辞めた人の理由を記録しているか。これは私が著書の最後に置いた『経営者への十の問い』の一つです。理由を記録していない会社は、同じ理由で辞める人を、また迎え続けることになります。
Q&Aよくある質問
- 新人ドライバーとの面談は、何分くらい必要ですか?
- 3日・7日・14日の面談は10〜15分でも構いません。大切なのは長さより、時期ごとに聞くことを決めておき、聞いた内容に担当者と期限を付けて返すことです。30日の面談は、報酬明細を一緒に見る時間も含めて少し長めに取ります。
- 面談で『辞めたい』と言われたら、どうすればいいですか?
- 引き留めより先に、理由を事実として聞きます。業務量、収入、体調、人間関係のどれかで、会社が変えられるものなら担当と期限を決めて対応します。変えられない条件なら、あいまいに期待させず理由を説明し、辞める場合も理由を記録して現場の改善に使います。
- 業務委託のドライバーにも、面談をしてよいのですか?
- 業務の進め方や困りごとを確認する面談は、業務委託でも行えます。ただし、指揮命令や評価の場にならないよう、目的を『業務を続けるうえでの困りごとの確認』に絞り、契約で決めた業務の範囲を超えた指示はしないようにします。
