利益・経営
軽貨物会社の売上を上げるには?単価・稼働・営業から考える経営改善
軽貨物会社の売上を上げるには、受注単価・実稼働台数・稼働日数のどこが伸びを止めているかを確認し、営業と採用・定着をつなげて改善します。売上だけでなく、ドライバー報酬や代走費を引いた利益、入金までの資金も一緒に見ることが大切です。私が現場で品質と採用の数字を動かしてきた経験も交えて整理します。
Answer結論
軽貨物会社の売上を上げるには、受注単価・実稼働台数・稼働日数のどこが伸びを止めているかを数字で切り分け、営業と採用・定着をつなげて直します。台数を増やす前に、代走や品質維持の費用が契約の価格に入っているかを確かめ、品質を数字で示して単価と取引先を選べる状態をつくることが、利益の残る売上につながります。
Key pointsこの記事の要点
- 案件ごとの売上を単価・実稼働・日数に分け、伸ばす箇所を決める
- 代走や予備の体制の費用が、契約の価格に入っているかを確かめる
- 品質を数字で示せる会社ほど、単価交渉と荷主選びで強くなる
- 採用は応募数ではなく、走り続ける人数で売上の土台を測る
目次
01売上を3つの数字に分ける
日額契約の案件なら『受注日額×実際に稼働した台数×稼働日数』で売上の構造を確認できます。個建てなら『支払い対象の件数×単価』、時間制なら『請求対象時間×単価』と、契約の単位に合わせて分けます。登録ドライバー数と、実際に請求できる稼働数を混同しないことが出発点です。
例えば、受注日額2万2,000円、10台、月22日という仮の条件では月間売上は484万円です。同条件で1台分の稼働が増えると48万4,000円増えますが、ドライバー報酬、教育、管理、代走などの費用も変わります。この数字は計算例であり、実績や市場相場ではありません。
図1日額契約の案件の売上は、3つの掛け算でできている
| 状態 | 先に確認する数字 | 改善の方向 |
|---|---|---|
| 仕事が足りない | 営業先・商談・見積・受注の件数 | 荷主への提案と既存取引の深耕 |
| 仕事を受けきれない | 空き台数・採用から稼働への移行率 | 採用計画と稼働前フォロー |
| 稼働が安定しない | 欠車・離職・代走の件数と費用 | 条件説明・教育・管理者対応 |
| 忙しいのに残らない | 案件別の売上と直接費・管理費 | 単価・作業範囲・配置の見直し |
02売上を増やす前に、案件別の利益を見る
売上からドライバーへの支払いを引いた差額が、そのまま会社の利益になるわけではありません。会社負担の車両費、保険、代走、採用・教育、本部の管理費などを整理します。何を案件の直接費とし、何を共通費として配賦するかをそろえないと、案件同士を比較できません。
契約上の単価は高くても、遠距離移動、長い待機、急な代走が頻発する案件では管理負担が大きくなります。案件ごとに売上、費用、時間、欠車・苦情を並べ、継続・条件変更・受注拡大の判断をします。赤字の原因を特定せず台数だけ増やすと、資金負担も大きくなります。
03代走の費用は、契約の価格に入っているか
ドライバーが朝に体調を崩す、車が故障する。人がやる仕事なので、必ず起きます。受託した側が代わりを立てて配送を守るのは、請けた仕事の責任の一部です。問題はそこではなく、その責任を果たすための人員も費用も、契約の価格に組み込まれていないことです。
上流は安定した供給を求め、下流はそのための予備の体制を自腹で抱える。『請け負う会社はほかにもある』という力関係の中で、リスクの分担が偏ったまま価格だけが据え置かれます。代走の手当は会社の利益から出ていき、その無理の最後の受け皿になるのは、不慣れな現場で遅れて玄関先で頭を下げる一人のドライバーです。
図2無理が上から下へ落ちていく流れ
- 01荷主安定した供給を求める
- 02受託会社断れず、無理を引き受ける
- 03会社の利益代走手当と予備の体制を自腹で抱える
- 04ドライバー不慣れな現場で遅れ、玄関先で謝る
04単価交渉は、相手にも続ける理由がある提案にする
ロジエスが大切にするのは、片方だけが得をする交渉ではなく、双方が事業を続けられる合意です。自社の費用増だけを伝えるのではなく、相手が求める品質と、自社が継続して提供できる仕事の範囲を数字で説明します。
交渉の前には、走行距離、待機時間、追加作業、物量の変動、配送品質、欠車時の対応を整理します。そのうえで『現状の作業範囲を維持する価格案』と『時間帯・作業範囲・保証条件を調整する案』を比べられる形にします。条件変更後のドライバー報酬と会社の収支も試算し、誰かの負担を見えなくしないことが原則です。
- 事実:どの作業・時間・費用が変わったかを示す
- 価値:品質や安定稼働のために何を提供するかを説明する
- 選択肢:価格と業務範囲を組み合わせた案を用意する
- 合意:対象業務・金額・適用日・見直し時期を文書に残す
05品質を数字で示せる会社が、交渉で強くなる
『ちゃんとやっています』では、荷主は判断できません。誤配の問い合わせ件数、時間指定を守れなかった割合、欠車への対応時間など、品質を数字で示せる会社は、単価の話をするときにも、取引先を選ぶときにも強くなります。
選ばれる側から選ぶ側へ回るための強さは、特別なものではありません。一つの取引先に売上の全部を握られないこと、数か月耐えられる資金があること、品質を数字で示せること、人を採って育てられることの4つです。
図3代表が前職で品質の数字を追って改善した例
- 誤配の問い合わせ
- 5→1件/月
- 時間指定を守れなかった割合
- 10%超→5%以下
06荷主営業では、稼働できる体制まで伝える
営業先へ『何台でも対応できます』と広く約束するより、対応エリア、現時点の受け入れ余力、立ち上げに必要な期間を具体的に伝えます。採用の見込みと確定稼働を分け、教育、安全、欠車時の連絡体制も説明できる資料にまとめましょう。
既存取引先にも、追加エリアや曜日、別の配送業務に課題がないかを確認できます。ただし、今の品質や人員に無理がある状態では、受注拡大の前に改善が必要です。営業の指標は連絡件数だけでなく、商談、見積、受注、立ち上げ後の利益までつなげます。
07採用・定着が、売上の土台になる
案件を獲得しても、現場が埋まらず、短期離職が続けば売上計画は安定しません。採用では、応募数に加えて面接、契約、初日稼働、継続稼働までを追います。欠車が増える時期や現場に偏りがあれば、募集条件と実態の差、教育、報酬説明、管理者対応を確認します。
ドライバーの収入と会社の利益を一緒に考えることは、交渉時だけでなく定着にも関わります。どの費用を誰が負担し、どの仕事にいくら支払うのかを説明できるようにします。負担に見合わない条件を放置して採用だけ増やすと、同じ離職が繰り返されかねません。
08最初の30日で、何から着手するか
以下は改善を始めるための進め方の例です。30日で売上が上がることを約束するものではありません。数字がそろっていない場合は、既存の請求書、報酬明細、配車表から集められる範囲で始めます。
| 期間 | 取り組むこと | 残すもの |
|---|---|---|
| 1週目 | 案件・単価・稼働・費用・入金の整理 | 案件別収支の一覧 |
| 2週目 | 受注不足・人員不足・利益不足の切り分け | 優先課題と担当者 |
| 3週目 | 一つの案件で提案や運用改善を試す | 交渉案・募集条件・運用表 |
| 4週目 | 数字と現場負担の変化を確認 | 継続・修正する施策 |
09軽貨物会社の経営改善は、どこに相談する?
相談先は、自社の課題と実際に支援してもらえる範囲で選びます。営業だけでなく採用・定着・報酬・管理が絡んでいるなら、それらを一緒に確認できるか、提案後の実務まで関わるか、料金と成果の見方が明確かを確かめましょう。
ロジエス株式会社は、軽貨物会社の売上・利益改善、営業・単価交渉、採用・定着、管理者育成をつなぐ経営支援を行っています。代表の奥山裕也は、ドライバーから採用・管理に携わり、過去の所属先で300人以上の体制づくりに関わった経験を持ちます。これは代表者の経験であり、当社による売上増加の実績を示す数字ではありません。
初回相談では、現在の案件、売上、稼働台数、採用・定着の状況を伺い、優先順位と支援範囲を整理します。具体的な支援内容、料金、代表者の経歴を確認したうえで、自社に合うかをご判断ください。
Q&Aよくある質問
- 軽貨物会社の売上を上げるには、まず何をすればいいですか?
- 売上を受注単価・実稼働台数・稼働日数に分け、どこが伸びを止めているかを確認します。仕事が足りないなら営業、受けきれないなら採用、稼働が安定しないなら定着と管理、忙しいのに残らないなら単価と作業範囲の見直しが先です。
- 台数を増やせば売上は上がりますか?
- 売上は増えても、代走や管理の費用が価格に入っていない案件では、利益が残らないことがあります。台数を増やす前に案件別の利益を確かめ、赤字の原因を特定してから拡大します。
- 荷主に値上げを伝えるとき、何を準備すればいいですか?
- 走行距離、待機時間、追加作業、欠車時の対応など、変わった作業と費用を数字で整理します。誤配の件数や時間指定の遵守率など品質の数字も添え、現状維持の価格案と作業範囲を調整する案を比べられる形にします。
